読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

"THE NEXT DOOR-INDESTRUCTIBLE"について、再度まじめに考察してみる

EXILE ft. Flo Ridaの珍しい組み合わせで前回さらりと感情を放ったこの曲。あれ以降もたまに気になって聴いている。

いわゆるポップ・ミュージックの第一線というレベルから見ると、耳当たりだけの、実に陳腐なレベルの作品だ。じゃあなぜ注目するのか。言うまでもなくそれはEXILEとFlo Ridaの組み合わせという異色さが面白いからだ。Flo Ridaではなく別の日本人アーティストだったら、あるいはEXILEではなく別のアメリカ人アーティストだったら、この曲にはほとんど興味を持たなかったはずだ。

面白いのは、歌い手がEXILEからFlo Ridaに変わった瞬間。落差の反対(昇差?)と表現したらいいのか。陳腐な音楽が、いきなり上等な音楽に変貌する。コンビニの巻き寿司を食べた後に急に高級寿司屋のトロが出てきたとか、小学生の水泳リレーのアンカーが急にオリンピック選手だったとか、初期のZTEのAndroidスマホを我慢して何年も利用していた人がiPhone 7Plusに機種変更したとか、東京大学落語研究会の発表会のトリでいきなり全盛期の桂米朝が登場したとかそういう類の変貌だ。

正直なところ、Flo Ridaとしては通常運転だし、軽いノリで参加しただけなのかもしれない。Pitbullの"Greenlight"で披露したラップのほうがキレがあるしカッコいい。でもPitbullのレベルも高いから、高級寿司屋のエビのあとにトロなので、「昇差」は感じない。今までと比べてとてつもなくレベルがジャンプアップしたから圧倒されたというのがこの”THE NEXT DOOR"で得られる快感の正体なのだ。

上に比喩として書いたような類の変貌は、滅多にお目にかかれるものではない。ミュージックステーションにBoyz Ⅱ Menが出演するというのとはちょっと違う。それだと予め期待してしまうから、直前に歌ったのがAKB48だとしても「昇差」のインパクトはそこまで大きくない。「思いもよらない急激なレベルアップ」というのがポイントなんだと思う。

これを意図的に演出しようというのは、簡単そうでなかなか難しいと思う。「思いもよらない」あるいは「想像できない」ところに確かな急上昇を生み出すためには、単なるサプライズではとても足りない。文化祭でMichael Jacksonの"Thriller"をみんなで踊っていたら、たまたま本人が通りかかって乱入するくらいのド派手な事件でないとこの「昇差」のインパクトは得られない。

なお、EXILEをバカにしているわけではないので、最後に自己弁護だけしておく。EXILEが下手なのではなくて、Flo Ridaがすご過ぎるだけなのだ。